今回は化学工場の設計図ともいわれるP&IDについて、なぜ重要なのか?、どのような記号で出来ているのか?などについてまとめて解説していきたいと思います。
P&IDとは?
P&IDは「Piping and Instrumentation Diagram」の略で日本語にすると配管計装図です。
この図面にはその名の通り配管および計装機器の情報が記された図面になります。
プラントを作る際の設計図的な立ち位置の図面であり、P&IDを見ることでプラント内で流体がどのように流れているか、またどのような機器や制御方法が使用されているかなどの情報を読み取ることができます。
そのため、P&IDはプラント工場で働くうえで確実に読んだり書いたりしなければいけない図面になり、新入社員はまずこの図面を読めるようになる必要があります。
しかし、P&IDは基本的な記号などある程度の記載ルールはあるものの、比較的自由度が高く、読むことはできても自分が書くとなった際にはなかなかとっつきにくいという人も多いと思います。
そこで、今回はP&IDの基本的なルールや書き方を解説していきたいと思います。

P&IDには明確なルールがなかったりするので、各社でルールが違ったりするよ!
P&IDに一般的に書かれている情報
1. 配管のサイズや流体名
まず、P&IDには配管についての情報が記載されています。
配管の情報とは配管のサイズや材質、フランジの数に加えて流れている流体や流れ方向などが記載されています。
一般に流体ごとに配管クラスが決められており、クラスを記載することが多いかと思います。
配管クラスは以下の記事で解説しています。
また、配管の流れは基本的には左から右に向けて記載されていることが多いです。
2. バルブの種類や配置
P&IDにはプラントに使用されているすべてのバルブの情報が記載されています。
玉形弁やボール弁といった種類に加えてガスケットの種類なども記載されることが多いと思います。
一般的にこれらの情報をすべて記載するとスペースが足りなくなってしまうので、各社でバルブ記号として流体ごとの規格を決めて記号で記載していることが多いかと思います。
3. タンクやポンプなど機器類の情報
次に流体をためるタンクや送るポンプなど機器類の情報が記載されています。
例えばポンプなら揚程(mH)や送液量(m3/h)、
タンクの場合は容量(m3)や材質(SGPやSUS)といった情報が記載されています。
そのほか、必要な情報があれば合わせて記載しましょう。
4. 圧力計や流量計など計器類の情報
圧力計や流量計といった計装機器の情報もP&IDには記載します。
そのほかにも温度計、液面計、pH系、自動弁など各種計器を記載します。
また、計器類を用いて自動弁などを制御している際はそのループも記載します。
5. その他
その他、配管の保温の有無や高圧ガスに該当するか、バルブの開閉状態など必要と思う事項を記載します。
また、枚数が複数枚になる場合にはつなぎ先の図面などを記載します。
まとめ
今回はP&IDの意味と記載されている事項を簡単にまとめてみました。
基本的なルールはあるものの、基本的には自由にプラントの情報を記載することが大切です。
P&IDはプラントの設計図となる重要な資料ですので、皆さんも確実に理解できるようになり、自分なりの情報を記載していくことができたらいいと思います。
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